国内のしじみの産地
スーパーで手に入れることのできるしじみには、国産と外国産があります。
今回は、そのうちの国産に焦点を当て、代表的な産地を北から見ていくことにしましょう。
産地ごとに採れるしじみの特徴や、漁法などにも注目してみると興味深いですよ。
国産のしじみとは?
現在出回っている国産しじみは、ヤマトシジミと呼ばれる品種が主です。
ヤマトシジミは汽水性の生物のため、塩分濃度が0の河川や、3.5%程の海水では生息することができません。
国内のしじみの産地
ヤマトシジミは、以下のような塩分濃度の低い汽水域(海水と淡水が入り交じる場所)で採られています。
北海道
北海道には、網走湖、藻琴湖、パンケ沼、天塩川といった産地があります。
中でも網走湖は北海道の漁獲量の8割を誇り、国産しじみの主要な産地といえます。
網走湖では、5~10月の時期に漁が行われますが、同じ網走市にある藻琴湖では、12~1月に栄養豊富な寒しじみが水揚げされます。
青森県
青森では、十三湖、小川原湖で採れたしじみが有名です。
十三湖では一年中水揚げされますが、とくに産卵時期に入る6~7月の時期には、身が肥えてとても美味しくなります。
また、1~2月の寒い時期にはアミノ酸が豊富になる、寒しじみも美味しいとされています。
ちなみに、しじみ漁では鋤簾(じょれん)という道具を使った、じょれんびき漁法が主流です。
沼底や川底にいるしじみを採り、その後資源保護のため、大きなものだけを選別して出荷されます。
今や全国で行われるこのじょれんびき漁法は、ここ青森県つがる市の漁師が考案したといわれています。
宮城県
宮城県石巻市・北上川で採れるしじみは、貝がべっこう色に輝くことから「べっこうしじみ」と呼ばれています。
震災の影響で、一度は壊滅的な状況に追い込まれましたが、地盤沈下の影響で浅く広い砂地に変わったことから、しじみの生育にはむしろ良い環境が整いました。
サイズの大きさと、見た目の美しさから、石巻市の特産品として珍重されています。
茨城県・千葉県
関東には、利根川と涸沼川といった2つの漁場があります。
利根川は、茨城県と千葉県のしじみの産地です。
大ぶりで味が良いと評判で、かつては国内の水揚量の半数を占めていましたが、近年では激減しています。
涸沼川下流にある涸沼では、一般的なじょれんびき漁法ではなく、「しじみかご」と呼ばれる籠を使って、沼底から人力ですくい取る漁法が取られています。
毎年8月、しじみ採りを行う一般の方への開放も行われます。
養分が豊富な涸沼で採れるヤマトシジミは、500円玉ほどの大きさになる個体もあるほどです。
島根県
島根県・宍道湖は、しじみの漁獲量全国一位を誇ります。
栄養が豊富な大粒のしじみが有名で、初夏、産卵前の「土用しじみ」と、冬期の「寒しじみ」がよく食べられています。
国産のしじみを食べよう!
スーパーなどでどこでも手に入れることのできるしじみですが、国内では、限られた産地でしか水揚げすることができないのです。
栄養と旨味の詰まった国産のしじみを、食卓に是非活用しましょう。