NASHとしじみの関係性
しじみは、肝臓の健康が気になる方から注目を集める食材です。
しかし、しじみに含まれる成分が肝臓に良いからといって、肝臓に疾患を抱える人が素人判断でしじみを多量に摂取することは、とても危険です。
今回は、肝炎の一種であるNASHと、しじみの関係性について解説します。
NASHとは?
NASHは、非アルコール性脂肪性肝炎の略称です。
脂肪肝や肝炎は、日常的にお酒を飲む習慣のある人だけがかかる病気ではありません。
お酒を全く飲まないか、あるいはほとんど飲む習慣のない人でもかかる可能性があるのです。
NASHは糖尿病や高血圧、高脂血症などの生活習慣病をもつ人に多く、食べ過ぎや運動不足、肥満といった生活習慣の乱れが原因の一つです。
肝臓に脂肪を溜め込みやすくなることで脂肪肝となり、そこから肝硬変、肝がんへと進行していくのが、NASHの特徴です。
NASHとしじみ
それでは、なぜNASHの人はしじみの摂取量に気をつけなければならないのでしょうか?
その答えは、しじみに含まれる鉄分の作用にあります。
肝臓における鉄分の作用
鉄分は、赤血球を作ったり、身体中に酸素を送り込むために必要な栄養素です。
普段は肝臓に貯蔵され、必要に応じて代謝量を調節しています。
しかし、NASH患者の肝臓ではこの機能がうまく働かなくなるために、鉄分を必要以上に蓄積しやすくなってしまいます。
余分な鉄は、肝臓で代謝される際に活性酸素を発生させ、これが酸化ストレスを与えることで、肝臓の細胞を損傷させます。
肝臓の細胞が傷つくと、肝機能が低下して炎症が続き、線維化を引き起こしていずれは肝硬変、肝がんへと進行していきます。
そのため、NASHの人は、医師から鉄分の摂取を制限されることがあるのです。
しじみに含まれる鉄分
生のしじみには、可食部100gあたりに5.3mgの鉄が含まれます。
また、しじみのエキスが凝縮したしじみサプリでは、1日の目安量で6mgの鉄を摂取できるものがあります。
健康な人の一日の摂取目安量は、男性で7.0~7.5mg、女性で6.0~6.5mgです。
しかし、NASHの人は、一般的に鉄の摂取量を6.0mg以下に抑えることが望ましいといわれています。
他の食材からも鉄分を摂取することを考えると、しじみやしじみサプリから5~6mgの鉄分を摂取することは、NASH患者にとって危険です。
NASH予防のためのしじみ
その一方で、しじみにはいくつものNASH予防効果があります。
現在、NASHなどの肝臓系の疾患を引き起こしていない人で、医師から特に制限されていない人の場合には、予防としてしじみの摂取をおすすめすることができます。
肥満解消
しじみの可食部100gには、リジン400mg、メチオニン150mgが含まれています。
この2つの成分は、脂肪燃焼を促進し、ダイエットに効果的なカルニチンを体内で合成します。
カルニチンは、エネルギーを効率よく生み出し、太りにくい体を作る働きがあるため、トレーニングをする人のサプリメントにも配合されます。
肝機能向上
しじみに含まれるオルニチンやシトルリンには、肝機能を向上させる効果があります。
これらは肝臓の働きに欠かすことのできない栄養素のため、補うことによって肝臓の機能を高めることができます。
肝機能が高まると、生み出せるエネルギー量が増加し、疲労の回復やダイエットのサポートに効果的です。
コレステロール値の改善
しじみに豊富に含まれるタウリンは、コレステロール値を下げる胆汁酸の分泌を促します。
コレステロール値を正常に保つことは、NASHを引き起こすリスクを上昇させる、高血圧や高脂血症を予防することにつながります。
NASHとしじみの関係性を正しく知ろう
過去には、肝臓に不安を抱える人が、しじみや同じく鉄分の多いウコンを多量に摂取し、病状が進行して劇症肝炎を発症したケースがあります。
しじみに含まれる栄養素が肝臓に良いからといって、むやみに摂取してしまうと、かえって病気を悪化させてしまうこともあります。
しじみはあくまで健康な人の予防策として考えるにとどめ、肝臓の健康に不安がある人は検査を受け、専門医の指示を仰ぐようにしましょう。
(引用元)
しじみと肝臓
http://rfkai.moo.jp/08.html
NASHとしじみの関係性
http://partusfilms.com/1.html